3Dプリンタ

各方式の特徴解説など

方式 特徴
熱溶融積層造形(FDM) 細いノズル(0.1mm~0.25mm程度)から、熱で溶かした樹脂を吐出、積層することでモデルを作製する方式。2009年一部の特許期限が切れて装置メーカーの新規参入・装置の低価格化が起こっため、この工法の3Dプリンターは装置価格が比較的安価。
長所:
  • 装置が安価
  • 機器のサイズが比較的小さい
短所:
  • 寸法精度が低く、表面が粗い
  • 一層積み上げるごとに下の層を冷却・硬化させる必要があるため、出力に時間がかかる
  • 造形時にサポート(支柱)をつけて出力し、出力後サポートを外す作業が必要
光造形(Stereo lithography、STL) 紫外線が当たると固まる性質を持つ液体エポキシ樹脂に紫外線レーザーを照射して硬化、積層させてモデルを作製する方式。精度は高いが強度は強くない。2
長所:
  • 硬化に加熱を伴わないため、熱溶融積層法や粉末焼結方式に比べて収縮・硬化時のそりは比較的少ない(積層厚は0.10mm程度と同じぐらい)
  • 硬化に加熱を伴わないため、冷却時間が不要
  • 材料費が安価(一度に大量のモデルもしくは大型モデルを作るのに適する「産業向け」)
短所:
  • 材料強度が強くないので形状によって変形、破損の恐れあり
  • 造形時にサポート(支柱)をつけて出力し、出力後サポートを外す作業が必要
  • 装置が大型で高価
  • 装置運用にある程度の専門知識や技術が必要
粉末焼結造形(Selective Laser Sintering、SLS) 粉末状の材料に高出力のレーザー光線を当てて焼き固めて積層しモデルを作成する方式。強度はある2。 ナイロン(ポリアミド)などの樹脂系材料や銅・青銅・チタン・ニッケルなどの金属系の材料が使用可能7
長所:
  • 強度・耐衝撃性、耐熱性、耐候性(紫外線による劣化しにくい性質)が高い
  • 出力時にサポートが不要
短所:
  • 寸法精度が低い
  • 冷却時間がかかる
  • 装置の価格が高い
機器の価格帯:
4,000万円~9,000万円程度(この他空調設備や集塵設備、不活性ガスを供給する設備などの付帯設備も必要)
材料費:
1万円/kg程度
粉末固着(石膏)造形 プリンタヘッドから結合材を吐出させ、石膏の粉末を固めて積層しモデルを作成する方式。2 表面にインク塗装することでフルカラーの色付けが可能?
長所:
  • データに色情報を付加すればフルカラーの着色が可能
  • 造形速度が速い
  • サポート(支柱)が不要で前処理・後処理が比較的容易
  • 導入・運用コストが比較的低い(装置が安価で、高額な付随設備も不要)
  • 造形操作にあまり専門性を必要としない
短所:
  • 強度が低い(含浸処理を行うことである程度強度を上げることは可能)
  • 造形精度が低い
  • 造形物の表面が荒い(コーティング処理でざらつきを抑えることは可能)
インクジェット 溶融金属や樹脂などをモデル形状の部分にのみ噴射・堆積させてモデルを作成する方式。インクジェットプリンタの技術を応用し、インクの代わりに樹脂を出力する考えで作られている方式。色をつけることも可能2 7
長所:
  • 造形速度が速い
  • サポート(支柱)は作られるが容易に除去可能
  • 着色可能
短所:
インクジェット粉末積層 敷き詰めた粉末(石膏やでんぷん)に結合用の液体を滴下することでモデルを作成する方式。インクジェットプリンタの技術を応用し、インクの代わりに接着剤を出力する考えで作られている方式。色をつけることも可能2 7
長所:
  • 造形速度が速い
  • サポート(支柱)がない
  • 着色可能なものもある
  • きめの細かい造形物が作れる
短所:
  • 強度が弱い
  • メーカー

    モデル

    業者 型番 方式 価格 備考

    出力サービス

    業者 材質 方式 プリンタモデル 出力サイズ 料金 備考
    Lithmatic 粉末石膏 フルカラーCMYK インクジェット積層 3D Systems Z-Printer 650 254mm×381mm×203mm 例:23,000円/100ml
    Lithmatic アクリル系硬化樹脂/透明樹脂/ABS様/PP様/高耐熱樹脂 最大46色 ポリジェット方式(UV硬化アクリル系樹脂) Objet500 Connex3 通常 390mm×490mm×200mm 例:基本1,000円+210円/100g+1,000円/h
    高品質3Dプリントサービス i.materialise 17種類 90色 本社はベルギー

    ノウハウなど

    PDB(蛋白質構造データバンク、PDBj RCSB PDB PDBe)に登録された分子構造データを3Dプリンタで出力する手順の一例を以下に示す。

    1. 分子の構造データファイルをUCSF Chimeraに読み込む
    2. 出力対象にしたい範囲の表面モデルを表示する
    初期状態ではタンパク質は原則リボンモデル(リガンド結合部位の側鎖は棒モデルになっていることもある)、リガンド類は棒モデル、金属イオンなどは球。これらを一旦消す。 そして必要な部分を選択(例:A鎖のみ→)。表面モデルを表示。
    3. stl形式で出力

    外部リンク・参考文献

    1. シーエムシー・リサーチ『3Dプリンターの材料技術の開発動向と市場展開』、2015年、ISBN 978-4-904482-16-2
    2. 3Dプリンターを学ぶ - 3Dプリンターの総合サイト by JMC
    3. The Types Of 3D Printing - All About 3D Printing
    4. 【価格.com】3Dプリンタ | 通販・価格比較・製品情報
    5. 3Dプリンター 構造生物学と3Dプリンタ
    6. 3D Printing Resources - RCSB PDB
    7. 3Dプリンター の種類と方式 | 3Dプリンターの比較・価格・3D素材なら、Japanese Makers
    8. MeshLab: 3D三角形メッシュデータを扱うオープンソースソフトウェア MeshLab 使い方メモ: Xsim
    9. 3Dプリンターの方式・仕組み・特徴を解説(2022年最新版) - 3Dプリンターならアルテック