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クロマチン

目次

  1. 概要
  2. クロマチンの構造
  3. クロマチンと核酸の集まり
  4. 核酸はクロマチンの中でどのように処理されるのか
  5. 将来の見通し

1. 概要

1.1. 概要コメント

真核生物の染色体(クロマチン、chromatin)に含まれる遺伝情報が、細胞においてどのように構築され利用されるかについての見識は、分子生物学と分子遺伝学の利用によって大きく増えた。 技術の進歩によって今では個々のDNA配列を特定できるようになり、細胞核の関連するタンパク質が決定されるようになった。 実験手法の進歩に伴い、各細胞はどのようにして個々の特性を獲得し、維持しているのかについての長く忍耐の要る探検を生物学者にさせることになった。 発生生物学者は、1つの卵がどのようにして異なる細胞型に分化するのか分子レベルで調査する方法を使ってきた。 この問題は科学者に成長、発展、分化は、核の中にある特定のタンパク質とDNAとの複合体の変化によって制御されていることを認識させることになった。 複合体がどのように形成され、どのような機能を持つのかは現代生物学の中心的テーマとなっている。

タンパク質とDNAの相互作用を詳しく調べるために使われる多くの技術は、染色質(クロモソーム、chromosome)を基本構造とするクロマチンに関心のある研究者によって開発されてきた。 このDNA、ヒストン、非ヒストンタンパク質の複合体は、生化学、生理学、分子生物学、そして遺伝子操作によって調べられた。 その結果今ではクロマチンの構造はよく分かるようになった。 しかしどのように折り畳まれ、どうやってクロモソームに詰め込まれるのかは分かっていない。 クロマチンがどのように構築されるのかについての知識は、機能を調べる方法の発展に伴い進展して来た。 DNA転写、複製、組み替え、修復を含む複合体イベントを実行するのに必要な、非ヒストンタンパク質を精製し複製するには、継続的で強い研究の努力が必要である。 調査は

1.2. クロマチンの構造機能調査の発展

19世紀の終わりにかけて、多くの研究者が継承された特徴によって決定されたクロモソームの理論を考案した(Voeller,1968参照)。これらの研究はほとんどが光学顕微鏡による細胞質の観察に基づくものであった。クロモソームは明らかに核の中にのみ存在し、継承された特徴を持つ細胞質の構成物への影響は、胚の核を細胞質領域に導入する実験により確認された(Wilson,1925)。 これらの実験などによって、分化は異なる細胞型における遺伝子活性の違いによっておこっているという理論が提示された。 遺伝子は明らかにクロモソームの中にあるが、その生化学的構造は完全には分かっていない。

ヌクレオソームの構造研究は今も続けられている。 これまでの研究でヌクレオソームはかなり複雑な構造をしていることが分かっており、DNAがヒストンの周りにまきついた構造をしている。 ヌクレオソームのintegrityは極めて特異的なヒストン相互作用、に依存している。 H3、H4が2つずつ集まった4量体がDNAをくるむ。 H2A2量体とH2B2量体が